飲食店であった木造2階建店舗の一階部分を、フレンチコース料理専門の店舗へ改修したプロジェクトである。
建築主は、本場フランスでの修行を終え、地元である新潟市古町地域に、気軽に本格的なフレンチを楽しめる場を目指していた。
延べ床面積は、28 ㎡。
独立した客席を設けることは困難である判断し、カウンター席(8席)のみの計画として、設計を進めた。
コストを抑えるため、既存の厨房位置に新たなキッチンスペースを配置。
ほぼ正方形のキッチンスペースとL 形のホールスペース、手洗いスペースとトイレからなる単純な空間構成である。
本計画において、カウンターテーブルは、キッチン(料理人)とホール(お客さん)を繋ぐ、最も重要な要素である。
しかし、模型・CG による検討から、必要な機能を満たしたL 形カウンターは、全体の空間に対して間伸びしてしまうことが判明した。
小さな空間と思っていたが、カウンターテーブルという要素のみで空間を構成するには、空間全体の気積が大きするぎることが原因であった。
そこで、空間全体を縮小し、カウンターに合わせたスケールで、コンパクトかつ高密度に空間を構成できないかを考えた。
カウンター(L 形の面)に類似する「折り曲げの平面」を、壁や天井に展開。
壁や天井といった空間の構成要素を、カウンターに向けて小さく収縮する。
それぞれの「折り曲げの平面」に色と質感の個性を持たせ、その存在を際立たせると、入れ子の空間構成が見えてきた。
入れ子の構成には、中心への関心(求心性)が生まれる。
既存空間に内包される、新たな空間。その中心には、SAISON の「食」が鎮座する。
SAISON
計画種別 : 内装改修工事
建物用途 : 飲食店
計画期間 : 2023年1月〜2023年6月
施行床面積 : 26.00㎡
構造 : 木造
設計 : 佐藤圭真建築設計事務所
施工 : (有)沖坂建築